とろける恋のヴィブラート

「それにちょっとお堅いイメージがあるでしょ? もっとこうお洒落にいきたいのよ」


「お堅い……」


「そうよ、クラシックなんか年配好みのダサい曲ばっかじゃない」


 どんなふうに育てたらこんな我が儘なお嬢様が出来上がるのかと、奏はふつふつと沸き起こる苛立ちに唇を噛み締めた。


「こんなところで時間を潰してる暇なんかないの、もう行きましょう。ジャズの件、なんとかしておいてよね」


 杏子が腰を浮かせて立ち上がろうとした時、奏の頭の中でブツリと何かが切れる音がした。