とろける恋のヴィブラート

「あ、あの……お客様、ひとつ提案なのですが……」


「なによ?」


「弊社は主にクラシック演奏の奏者に定評を頂いております。実際、ジャズ演奏となるとそれ専門の演奏家を見つけるのがなかなか難しくて、こちらの手違いで大変心苦しいところなのですが、このままクラシックで余興されるのはいかがでしょうか?」


 その後、どれくらいの沈黙が続いたかわからない。街の雑踏がガラス越しでも耳障りなほど聞こえてくる。