とろける恋のヴィブラート

※ ※ ※

 応接室――。


(……絶対、今日は家に帰ったらヤケ酒してやるんだから!)


 奏は、ようやくお出ましになった高慢な雰囲気がぷんぷんと漂う片山の新婦と対峙しながら、そんなことを考えていた。


 その横で今回の依頼人である片山が黙って座っている。



「私たち、忙しい時間を縫って来たのよ? お茶も出ないわけ?」


「すみません! ただいま用意させてますので、少々お待ちください」


 ブランド品の鎧を着たような片山の新婦はまだ若く、どこぞのお嬢様のようで、意外に地味な印象の片山とは真逆の人間だった。