とろける恋のヴィブラート

「遅いな……」


 けれど、時間になっても片山はなかなか現れなかった。


 柴野は、何度も腕時計に目をやって時間を確認する。そしてその隣で美香が腹をさすっていた。


「っ!?」


 その時、奏の携帯のバイブが振動して思わずびくりと腰が浮いた。


「す、すみません!」


「いいよ、まだ来なさそうだし、仕事の電話かもしれないだろう? 行っておいで」


 優しく柴野に微笑まれ、奏は軽く会釈すると部屋から出て電話に出た。