とろける恋のヴィブラート

「報酬をもらう相手は俺が選ぶ……それに、ボランティアでもどんな小さなイベントでもオファーを受ければ仕事は仕事だ。自身を過信してオファーを選り好みしてる演奏家はたくさんいるけどな、少なくとも俺はそういう連中とは違う」


 常に華やかな社交界で活躍しているイメージの御堂だったが、その意外な一面に奏はドキリとした。


「御堂さんの演奏でみんなものすごく喜んでました。実は健太君、お友達がみんな知ってる曲なのに、自分だけ知らないのが嫌だったみたいです」


「学校生活よりも入院生活の方が長すぎて、クラシックなんか聴いたことなかったんだろ……まったく音楽に興味のないやつでも、演奏家の表現次第でいくらでも繋がることはできる」



 ――人と音楽が繋がるような時間にして欲しい。