とろける恋のヴィブラート

「やだぁ! ヴァイオリンなんかつまんない!」


「健太君、一人でわがまま言ったらおかしいわよ」


 優雅な雰囲気を両断するようなけたたましい声がして、奏は夢心地から一気に目が覚めた。すると、眉間に皺を寄せながら御堂がピタリと演奏を止めてしまった。


 主に御堂が演奏をする場所は、セレブな大人たちの社交の場や大きなコンサートホールで、子供の声に自分の演奏を阻害されるようなことはない。


 予想外のハプニングに御堂は顔を曇らせていた。