とろける恋のヴィブラート

 奏はふつふつと沸き起こりそうな嫌な感情を押し殺して、目の前のナポリタンを勢いよく食べ始めた。


「今日の奏はなんだか疲れてるみたいだけど……」


「え……?」


「心ここにあらずって感じだよ?」


 怪訝そうな柴野の視線に、奏はドキリと全身を硬直させた。


 そんなことはない。とすぐに言おうとしたが、確かに今日は考えてばかりだった。