とろける恋のヴィブラート

「青山さん」


「あ、石田さん」


 振り向くと、杖をつきながら石田が笑って立っていた。


「屋外コンサートとは考えましたね。まるでピクニック気分で、入院している子供たちも大喜びですよ」


「い、いいえ。看護師さんもお忙しいのにお手伝いいただいて助かりました」


 奏は、石田に勢いよくペコリと頭を下げた。


「これ、あなたが作ったチラシでしょう? さっきカイリからもらったよ」


 石田は、チラシをポケットから取り出すと、ふむふむともう一度目を通し始めた。


(御堂さん、チラシ見てくれてたんだ……さっきは何も言ってなかったのに)


「青山さん、少し疲れ顔だね」


「え?」


 そんなことはないと言葉を繋げようとしたが、生あくびが出そうになって慌てて噛み殺した。