とろける恋のヴィブラート

「いい天気ですね」


 よく晴れた空の下で、温かな陽気に草木が風にそよいでいる。奏は手で日差しを作って空を振り仰いだ。


「病院と言っても……まさか屋外でやるとは……予想外だな」


 イベント会場となる予定の病院の中庭は、慌ただしく準備に追われてざわついていた。手伝いの看護師が楽しそうに所々に風船や花などの飾り付けをしている。


「しかもこのガキっぽい舞台装飾はなんなんだよ……俺の趣味じゃない」


 御堂が飾り付けられた風船を指で弾くと、ぼよんと揺れる。


「御堂さんの趣味よりも、聴いてくれる人の趣味ですよ。ヴァイオリンコンサートなんて、馴染みのない人にとっては縁遠いものじゃないですか、子供から大人まで幅広い年齢層が楽しめるイベントにしたかったんです。ほら、もう会場に子供たちが集まってきてる!」


 奏が指差す方向に入院中の子供たちがひと足先に来て、楽しそうに今か今かと始まるのを待っているのが見えた。