とろける恋のヴィブラート

 ※ ※ ※

 ――大月山総合病院コンサート当日。


「今日、午後一時からヴァイオリニスト御堂カイリの屋外コンサートをやりますので是非来てください」


「う~ん、ヴァイオリンのコンサートねぇ……」


 御堂に任された企画を成功させたい一心で、奏は早めに来て徹夜で作ったチラシやポスターなどを院内に配り歩いていた。


「御堂カイリって誰だったかしら? 今日は朝から傷が疼いてねぇ……気が向いたら行くわ」


「ありがとうございます! お待ちしてます」


 あまり気乗りしなさそうな入院患者の女性にぺこりと頭を下げ、奏は徐々に気温が上がっていく陽気に小汗を拭った。