とろける恋のヴィブラート

「これじゃ一人で来た意味がない……」


 御堂はため息をつくと、思わぬ人物との遭遇に眉間に皺を寄せて、ちらりと横目で柴野を睨みつけた。


「御堂さんはよくこの店に来るんですか?」


「……あぁ」


「僕は今夜初めてきたんですけど、なかなか雰囲気のいい店ですよね」


 知り合いの店の手前、すぐに帰ることもできずに御堂はノンアルコールのカクテルを煽りながら、柴野の言葉を横に聞いていた。