とろける恋のヴィブラート

「か……で? 奏、奏?」


「っ!? え? あ、はい!?」


 長い長い回想から、ようやく奏は柴野の呼びかけで我に返った。


「どうしたの? もう料理もとっくに運ばれてきてるのに、手をつけないから具合でも悪いのかと思ったよ」


 先程レストランに入って注文を済ませ、まったりしたらなんとなく回想に耽ってしまった。


 心配そうに覗き込む柴野に、奏は大丈夫です。と笑って見せる。


(私が失くした楽譜、もしかしたらあの時だったのかも……)