とろける恋のヴィブラート

「石田さんのコンセプトに合うように、色々アイデアを出させていただきます。それで、石田さんとしてはどんな感じのコンサートにしたいとか希望はありますか?」


 奏は、サッと頭を仕事脳に切り替えてペンとメモを用意する。依頼者から企画の概要を聞いて、それを演奏家とアレンジするのが奏の仕事だ。


「そうだな……人と音楽が繋がるような時間にして欲しい」


「わかりました」


(人と音楽が繋がる時間……か)


 頭の中で復唱すると、胸にその言葉がじんわりと染み込んで行くのがわかった――。