とろける恋のヴィブラート



 その言葉が何故か奏の胸にチクリと突き刺さる。


(興味ないならわざわざ聞かなきゃいいのに……)


 奏が俯きながらまごまごとしていると――。


「ぷっ……」


 奏の頭の上から御堂が噴き出す気配を感じ、奏は俯いていた顔をあげた。


「お前、可愛いとこあるじゃないか」


「は……い?」


 そう言いながら、御堂はニヤニヤと笑って車の鍵をポケットの中に突っ込んだ。


「な、何言ってるんですか!? からかうのもいい加減にしてください!」


「……ふん」


 御堂に行くぞ、と目で合図をされて、奏はテーブルに散らばったままの楽譜をかき集めてバッグにしまい込むと、慌てて御堂の後を追いかけた。