とろける恋のヴィブラート

 少しはにかんだように小さく呟くと、御堂はそのままシャワールームへ向かった。


(御堂さん、私と同じだ……)


 奏もピアノを弾き始めてから数年、必ず起きてすぐにピアノの前に座り、鍵盤を鳴らしてみる。これは自分だけの癖のようなものだと思っていたが、御堂と同じ習慣だと思うとなぜか嬉しくなった。


「手紙……?」


 奏は、バッグの中から選曲の楽譜を取り出して、ローテーブルに視線をやると、一通のエアメールが置いてあることに気づいた。


(……MIZUKI KIRISIMA)


 聞き覚えのあるその名前が記憶の扉をたどっていく。