とろける恋のヴィブラート

 その頃――。


 柴野はひとり、自宅マンションでソファでくつろぎながら奏と切った携帯をじっと見つめていた。


「僕らしくない……ね」


 柴野は、ソファの上に置いてあった御堂の公演パンフレットを手に取ると、パラッとめくった。


「奏……君の忘れられない男って言うのは……」


 険しく目を細めて、そのパンフレットをぐしゃっと丸めると乱雑にゴミ箱へ投げた――。