とろける恋のヴィブラート

「……はい、本当です」


『どうして?』


 少し感情的な口調が、奏の胸に突き刺さる。どうしてと問われても、仕事だからとしか答えようがなかった。


『僕は君の上司として、そんな独断で社員を取られては納得がいかないんだ。春から夏に向けてイベントも増えてくるし』


「すみません……ほんとに急に決まってしまって……」


『どうして御堂にそう言われた時に相談してくれなかったんだ。奏は、今までに専属マネージャーなんてやったことないじゃないか』


(柴野さん、もしかして……怒ってる?)


 奏は、唇を何度も湿らせて、弁明の言葉を考えた。