とろける恋のヴィブラート

「はい」


『あ、奏? お疲れさま。今日は仕事終わるの早かったみたいだね』


 毎日会社で顔を合わせているというのに、柴野は一週間のうち三回はマメに電話をかけてくる。


『本当はもっと僕も早く仕事が終われば奏と一緒に帰れたんだけど……奏、今、時間いいかな?』


 前置きも短く、柴野が早々に本題に入ろうとすると、なんとなく奏の心臓が高鳴った。


『社長から話を聞いたんだけど……奏、御堂の専属マネージャーになるって本当?』


「そ、れは……」


 今日、仕事が終わった時に奏は社長に呼び出された。

 何かと思えば、御堂の専属マネージャーになるという意思の確認だった。奏は未だに複雑な心境だったが、仕事をより好みしている場合ではない、と腹をくくってイエスの返事をしたのだった。