とろける恋のヴィブラート

「とにかく、明日から俺の専属マネージャーとして馬車馬のように働け、俺はそれ以上に忙しい」


「えっ!? それってもう決定事項なんですか!? そんな――」


 奏の言葉を切るように、御堂がピッと人差し指と中指で挟んだキーカードを差し出して渡す。


(これって、御堂さんのマンションの鍵?)


「帰国して早々の初仕事だ。内容はお前のPCアドレスに送信しておいたから確認しておけ」


「御堂さん、私まだ承諾したわけじゃ……」


「お前はもう、まな板の金魚だ。明日、朝の八時にマンションに来いよ。じゃあな」


 強引にそう言い残すと、御堂は部屋を出て行った。


(それを言うならまな板の鯉でしょ! いきなり専属マネージャーって言われても……)


 奏は、ひとり取り残された応接室で途方にくれながら、ただ立ち尽くすことしかできなかった――。