とろける恋のヴィブラート

「じゃあ、一体――」


「自分で考えろ、おそらく演奏家としてお前に足りないものも見えてくる……そう簡単に答えを教えたらつまらないだろ」


(つまる、つまらないの問題なのかな……?)


 すると、御堂が奏の肩までの髪の毛にすっと指を通した。


「髪、切ったんだな」


 奏は社会人として働くまで、ずっと腰まで髪の毛を伸ばしていた。


(そんなこと覚えてたんだ……)


 御堂と初めて会った時、奏は艶のある黒くて長い髪をしていた。


「俺は長い髪の女が好きだ」


「べ、別に御堂さんの好みなんて聞いてません」


「可愛くないやつ」


 ボスっと奏の頭に大きな手を乗せると、御堂はジャケットを手に取った。