とろける恋のヴィブラート

 アルビネ国際コンクールは、特に奏にとって大きなプレッシャーだった。その圧力に、奏は打ち勝つことができず、そのコンクール以来、どのコンクールに出ても実力を発揮することができなくなってしまった。


 天国から地獄へ突き落とされた奏は、いつの間にか演奏家としての道を外れ、大舞台から足を下ろしていた。


「手、貸せ」


 その時、御堂が奏の両手を取って、何度も指を広げたり閉じたりして丹念に眺め始めた。


「御堂さん……?」


「ふぅん……」


 御堂は、奏の手を離すとニヤリとした。