とろける恋のヴィブラート

 五年前――。


 国立の音大生だった奏は、その実力を認められついに音楽の最高峰と言われるアルビネ国際コンクールのピアノ部門で演奏する切符を手に入れた。


 このコンクールで入賞すれば、演奏家として世界中で活躍できる。そんな夢を抱いてコンクールに望んだものの結果は惨敗、入賞するどころかその時のピアノ講師からも見限られてしまったのだ。


 ――君は才能があるのに、演奏家としては致命的な欠点を持っているね……残念だよ。