とろける恋のヴィブラート

 寝不足なのか、御堂は口に手をあてがいながらあくびをしている。


「けど、俺はここのベルンフリート音楽事務所に所属することを考えている」


「え……?」


 奏は、何か言わなければと思いつつも、言葉がうまく思い浮かばずたどたどしく声が喉から漏れるだけだった。


「でも、すんなりあのタヌキのいいなりになるんじゃ面白くないから、条件をつけた」


「条件?」


 御堂は、ソファからすっと立ち上がると、奏の目の前に歩み寄った。


「俺と同様に音楽の知識があって楽器がいじれて、退屈しない女を俺の専属のマネージャーとしてつけるという条件だ」


 腰を屈めて御堂が顔を覗き込んでくる。


 奏は、その視線を背けることもできないまま、ゴクリと喉を鳴らしてじっと見つめ返した。