とろける恋のヴィブラート

 楽器というのは長年使いこなして飼いならす。いわばペットのような存在であり、生きた音が出せなくなるまで生涯共にある友だ。


(御堂さんは……私と同じなんだ)


 奏は元々裕福な家庭ではなかったため、幼少の頃に買ってもらったピアノを未だに使い続けている。


 マンションや車を現金払いするという金銭感覚のズレはあるものの、御堂は無駄に高価な楽器をポンポンと買うたちではないようだ。それが嬉しく思えて、奏は思わず表情を和らげた。