とろける恋のヴィブラート

「み、どう……さん?」


 御堂は、先程着ていたタキシードからカジュアルな白いカッターシャツに細身の黒いパンツというラフな恰好に着替えていた。髪型もいつものように下ろしている。


 腕を組みながら奏を見つめる御堂は、あまり機嫌の良さそうな感じではなかった。


(やっぱり……怒ってるのかな。そりゃそうだよね……あんな不安定な伴奏じゃ、文句のひとつやふたつ言いたくなるよ)


 奏は湿っている目元をゴシゴシと手の甲で拭った。