とろける恋のヴィブラート

 ※ ※ ※

 ひと気のないホワイエに出ると、奏はガラス張りの向こうに広がった夜景に吸い寄せられて、窓にそっと手をついた。


(なに泣いてるの私……みっともない顔)


 ガラスに映った自分の顔のひどさに思わず噴き出して、そして押さえ込んでいた涙が一気にこぼれ落ちた。


「う……ふ、えぇ……っ」


「おい、ブサイク。笑ったり泣いたり忙しいやつだな」


「ひっ!?」


 止まらない涙に声を殺していると、突然背後から低い声が聞こえた。涙を拭くことすら忘れ、驚いて咄嗟に振り向くと、そこにいたのは――。