とろける恋のヴィブラート

 司会が曲の説明にマイクを握り直し、にこにこ顔で中央に出てくる。


「それでは最後の曲になりました。えー、この曲はなんと、ピアノ伴奏者の青山さんがご自分で作曲されたという二重奏で、まだタイトルは未定ということですが――」


(……はぁ!? な、な、なななんのこと!?)


 奏は慌てて思わず椅子から立ち上がりそうになると、御堂の氷のように冷たい横目が突き刺さった。先程まで落ち着いていた心拍数が一気に荒れ狂う。


(あ……)


 奏はふと我に返ると、何百という眼に見つめられていた。


 ドクンドクン――。