とろける恋のヴィブラート

 その時、不意にあの時の言葉が脳裏を掠めて、奏は緊張で強ばった身体をびくりと震わせた。


(なんでこんな時に……集中しなきゃ!)


「おい」


「っ!? は、はい?」


「顔が怖い」


 膝の上に握り締めた拳をじっと見ていると、頭の上から低い声が降ってきて、奏は弾くように顔をあげた。