とろける恋のヴィブラート

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 御堂が数曲ソロで演奏し終わったあと、十分の休憩が設けられていたが、業界のお偉どころに囲まれて、御堂は休憩どころではなさそうだった。時折海外からの来客を相手に流暢な英語やフランス語などで会話をしている。


「それでは青山さん、次の曲はピアノの伴奏が入りますので、よろしくお願いします」


「あ、はい」


 担当者に促されて奏は、先日自分が調律をしたピアノの前に座った。真っ白な鍵盤がライトに照らされて反射している。奏が座ると次第に注目が集まってきた。