とろける恋のヴィブラート

(あ……)


 滑り込むように優雅に聞こえてきたヴァイオリンの音色に、奏はホール中央に視線を向けた。するとそこにはソロで演奏する御堂の姿があった。


 先程、控え室で会った時とは違い、御堂はスタイリッシュにタキシードを着こなし、キリっと凛々しく前髪をあげていた。


(御堂さん……)


 そんな姿に、奏は思わず目を奪われてしまった。


(な、なに見蕩れてんのよ私……)


 初めて音楽室で聴いた御堂のヴァイオリンの音色は、九年経っても全く変わってはいなかった。