急によそよそしくするのも嫌で、今後距離を置くことを一応リフに話した。
「まあ、妥当な忠告でしょうね」
あっけらかんとした口調でリフは答える。命令に不服で、過ちなんか起きないと言い張る私と違い、彼はどこかほっとしたようにも見えた。
「ダグラス様が仰る通り、いつまでもこのままでは居られません。今までよく黙認してくださったと思いますよ。勝手に外出させるは、分不相応に姫に触れるは、色々掟破りをしていますから、私は」
本当は首刎ねたいくらいだと思います、と彼は屈託無く笑う。
ああ、やっぱり私の片思いなんだ。リフの笑顔を見てそう思った。
そりゃそうよね、ダグラスも『リフは特別な感情を抱いていない』って言ってたし。自分でも言った通り、親子でもおかしくない歳の差だし。
それに、思えばリフはここが故郷、生まれ育った所。彼を雇ったお父様は既に亡き人だし、私を成人まで護った後は任務から解かれて自由に生きられる。
表向きには何も言わないけれど、この任務が終わったら一緒になりたい女性が居たっておかしくない。
そう、リフにとって私達とここに居る事は、最初から仕事だったのだ。そこに特別な感情など存在しない。彼はお父様に命じられた任務を忠実に遂行していたに過ぎないのだ。
「じゃ、そういう事だから。今までありがとう、リフ」
口早にそう言って、私は踵を返した。
間一髪で泣き顔を見られずに済んだ事に安堵しつつ、私は階段を駆け上がった。



