空の誓い、海との約束

「おお、エミリア。こちらに来てよく見せておくれ」

 難しい顔をして彼と話していたお父様は瞬時に笑顔になり、驚いて立ち止まっている私を手招きした。彼は脇に退いて私に場所を譲り、直立する。

「紅色の花が咲きました」

「流石は母上だ、エミリアに似合う色を選んだな。綺麗な色だ」

 お父様はご機嫌で私の頭をぐりぐりと撫でた。

 大好きな暖かい手が嬉しいながらも、横に立っている彼が気になってチラチラ見ていると、お父様はそれに気付いてお笑いになった。

「そうか、エミリアはリフに会うのは初めてだったか」

 はい、と答えると、お父様は彼を指して言った。

「リフ・アルバ。父の手足となって働いている者だ」

 紹介されると同時に彼は測ったかのような綺麗なお辞儀をした。顔を上げた一瞬、目が合う。

 にこりともせず、何にも言わない。無表情なその様子に、何だか怖そうな人という印象を受けた。

「リフはお前に恩義があるからな。頼めば何でもしてくれるぞ」

 お父様は笑ってそう仰ったけれど、ちょっと嫌だなと思った。

 何か頼むなら怖そうなこの人よりランディの方がいいな、と私は心の中で呟いていた。