空の誓い、海との約束

「えっ……」

 予想外の展開に対応出来ず、僕は固まっていた。

 ああ、陛下はどんな御衣装を召されても綺麗だ。こんな近くで拝見出来るなんて夢みたいだ。

 って、そうじゃない、ええと、こういう時どうするんだった?

 僕はすっかり動揺していた。確かに、陛下と踊れたらいいのにと思っていた。でもまさか陛下からお声がかかるとは思ってなかったし、自分から誘うパターンしか教わっていない。

 周りの空気が一気に冷えていくのが分かる。視線が矢どころかナイフになってグサグサ刺さってくる。

 それもそうだろう、並居る美丈夫を振り切って、誰の目から見ても対象外のチビに陛下自らお声をお掛けになったのだから。

「えっと……」

 パニックしている僕を現実に引き戻したのは、微かに潤んだ女王陛下の瞳だった。

 何処かで見たと同じ瞳。そうだ、初めて会った時にも陛下は僕を見つめて泣きそうな眼をしておられた。