可愛い弟くん







昼休み。

私は体育館の倉庫に来ている。

梓はまだ来ていない。


何、されるんだろう……こわい。


私は独り、震える自身の肩を抱いた。

少しすると、倉庫の扉が重たい音を立てて開いた。

そこには、梓と、彼女といつもつるんでいる由香里、そして怖い印象の男子生徒がいた。

「えっ…?」

男子がニヤリと不吉に笑う。

私は思わず後ずさりをした。

梓と由香里で両面開きのドアが開かないように押さえた。

ここは昼休みはほとんど人が来ない。

大声を出しても、私の声は届かない。

「いいよ。雅樹」

梓の声で、雅樹と呼ばれた男子が動いた。

彼は私を襲い倒すと、ブラウスの襟に手をかけた。

私にまたがり、無理やりブラウスを引っ張った。

バリバリと布の破ける音がし、
取れたボタンがどこかへと転がった。

「…っ‼︎‼︎」

私は下着を見られないように、必死に両腕で隠した。

しかし、彼はスカートをめくり上げ、
パンツを脱がそうとした。

「あっ!やぁっ……!」

私は足をばたつかせて抵抗した。

「あーもう動くな!」

頰に衝撃を感じる。

こんなに強く打たれたのは初めてだ。

「ちょっと雅樹!跡に残ったらどうするの⁉︎⁉︎」

梓がそう叫んだ。

私の頰に涙がつたる。



お願い、助けて。

誰か…。
清佳……。



「お前らこいつ抑えろよ」

「由香里、抑えて」

「えーーーやだよ」

「いいじゃん。録画したの見せてあげるから」

「っ‼︎‼︎」

私は梓を見る。

薄暗くて気づかなかったが、梓はビデオカメラをこちらに向けている。

ビデオカメラの光が、梓の顔を照らし出している。

「了解」

由香里はそう言って、私の両腕を頭の上で固定した。

「いやぁ!」

彼はブラジャーを上にずらすと、胸をわしづかみにした。

そして、空いてる手でパンツをずり下げようとする。

私は必死に抵抗する。

「やだっ!いや!」

「うるせぇ!」

腹を思い切り殴りつけられ、息が止まる。

「うっ……!」



お願い。
誰か………………助けて…。




…………………………………………俊。



その瞬間、梓一人では抑えきれなかったドアが、バァンッと激しい音を立てて開いた。

「やっべ!」

梓はチッと舌打ちをした。

「なに、やってんの?先生呼ぼうか?」

その声は、あきらかに怒りを含んでいた。

「……べっつに!」

三人はその人物を押しのけて、バタバタと走って行った。

倉庫の入り口に立っている人物は、私の肩にブレザーをかけてくれた。

「……ぁっ、……ぁ、あぁ……」

のどから震えている声が漏れる。

「大丈夫、大丈夫。」

優しい声。

その声の持ち主は、私をそっと抱きしめてくれた。

「……し、しゅ………ん、あ、ああ」

「大丈夫。傍にいるから。な?」

「ん……」

俊は腕にぎゅっと力を込めた。

私の頭を優しく撫でてくれる手に、安心感が込み上げてきた。

「……いいよ。堪えないで」

その一言で、抑えていた感情が
一気に爆発した。

「……う…あ、あぁ、ん……」