可愛い弟くん




昼休みのチャイムが鳴った瞬間、私はお弁当を持って教室を飛び出した。

屋上までの階段を駆け上がる。

屋上の扉の前に立ち、息を整える。

落ち着いたところで扉を開き、俊の待つ場所へと行った。

「瑠璃」

彼の笑顔を見ると、とても安心した。

いつも通り隣に座り、お弁当を広げた。

「瑠璃?」

「ん、なに?」

俊はものすごく真剣な顔をして、私を見つめる。

「………なにか、あった?」

そう聞かれ、心がズキズキと痛んだ。

今にも涙が溢れそう。

彼に聞いて欲しい。

慰めて欲しい。

けど、

「…なんも?」

迷惑かけたくない。

「嘘だな」

その一言を聞いて、気持ちが揺らいだ。

「……嘘じゃない、よ?」

「絶対嘘だ」

そこで、不覚にも、我慢していた涙が零れてしまった。

「ほら」

限界だった。

心が、壊れそうに傷んだ。

「……いじめ、られてるの…っ」

俊が悲しそうに顔を歪めた。

「なんでもっと早く言わなかった」

俊が私の肩をそっと抱き寄せる。

肩に感じる温もりが嬉しかった。

「昨日は、ここに来なかったから心配したんだ 」

私は俊の声を聞きながら、静かにしゃくりをあげた。

「連絡先は交換したよね?」

喉に言葉が詰まり、声が出なかった。

かわりに、首を動かして頷く。