更衣室で急いで着替え、正門へ向かう。 「ごめん、遅くなった。」 「別に。帰るぞ。」 「うん。」 私が一歩踏み出したとき腕を引っ張られ、ふわっと甘い香りに包まれる。 「西科?」 「俺、不安になるんだよ。」 「何が不安なの?」 「お前が橘にとられそうで……、 すごく不安になる。」 「西科、大丈夫。 私は、西科より “いいな”って“かっこいいな”って思う人はいない。 西科が1番だから。西科以外いらない。」