「芹沢さ――!」




沖田さんの手をよけ、名を呼ぼうとしたところで私の意識は闇に落ちた。




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伊勢を羽交い締めにしていた沖田は、その華奢な体に驚いた。

雨で着物が張り付いていたからというのもあるが腰など、力を入れればすぐに折れてしまいそうな程だった。




そんな彼女に手刀を入れるのは忍びなかったが上司の命令とあれば聞かないわけにもいかない。(もっともいつもは聞いていないが)




軽く叩けばすぐに伊勢は落睡した。




ぐったりと沖田の腕に寄り掛かる体を横抱きにして縁側まで連れていく。




彼女が心配だったのか、僕の信用がないのか後ろから斎藤もついてきた。




その後の土方の仕事は早かった。




丸腰の芹沢の心の臓を刀で一突き。
芹沢も抵抗することなく地面に崩れ落ちていった。




伊勢が来るまではあれ程一人で持ちこたえていたというのに、来た途端これだ。
沖田には娘を守る父のようにも見えたが、そのような感情は到底理解できなかった。




伊勢といい、芹沢といい、人のために命を投げうるなど正気なのだろうか。




「僕にはできないなぁ....」




「何か不都合か?」




ふと口から出た言葉に斎藤が反応する。




「一くん、君は出会って一年も経たない人のために命をかけられる?」




「....ああ、そういうことか」