そんな犬猿の仲である2人はさておき、エプロンを身につけたあたしは予定通りのメニューでキッチンへ入る。
「もか、何か手伝うことある?」
いまだ、向こうでガミガミ文句を言い合っている千早と叶多くんとは裏腹に、静かに読書にいそしんでいた碧くん。
「だ、大丈夫!碧くんはゆっくりしてて♪それより碧くんこそ、お昼、焼き魚でいい?確かこの前パスタ食べたいとか言ってたよね。」
「作ってもらう分際で文句なんか言わないよ。俺は肉も魚も食べられるから、どちらでも構わない。いつも悪いね。」
表情をあまり変えずに彼は言った。
「いいのいいの!好きでやってることだから。ほら、座ってて?」
「ありがとう。」
普段は生徒会の仕事中や、読書の間しか使わないメガネをかけて、碧くんは読みかけの本を手に、ソファへ戻っていった。
ふぅ・・・。
学校では"何でもできる白馬の王子様"なんて言われてる碧くんだけど、ちゃんと弱点は彼にもあって。
実を言うと、料理とか裁縫とか、そういうのがとにかく苦手。要するに、手先が人並み外れて不器用なのだ。
