俺は何も言い返せず、川佐美ちかさの背中を見送った。


そして天路の待つ席に戻る。


わかってはいたけど天路は不機嫌そうだ。


「ごめん」


「ここ奢れよな」


「はいよ」


すると天路がニコニコしながら聞いてくる。


「どうだった?あの子とは?」


俺は残念そうに。


「特に何もなかった」


と答えると天路が呆れたように。


「何やってんだよ弥生」


「しょうがないだろー、ああゆうのは初めてなんだから」


「だから俺が行こうとしたのによー、止めやがって」


そう言い合いながら俺の奢りで店を出た。