「せ、せんぱ…」
「あ!そろそろ教室行かねぇとやばくね?」
そう言って先輩は校舎についている時計を視界に入れた。
先輩の言う意味が深い意味だったのかわからないけれど、私は純粋に先輩の言葉を受け止めていた。
「バスケ部、良い奴らばっかだからさ。入るの考えといて?」
「…っはい!」
先輩の笑顔にまた心打たれ、胸がきゅんと高鳴った。
「1年はここの階だから」
「わざわざありがとうございますっ」
「いえいえ。オレの可愛い後輩だしな!」
ぐしゃぐしゃ、と頭を乱暴に撫でられ私は顔を真っ赤にさせた。
お…オレのかわいい後輩……!!
ときめかずには居られない先輩の笑顔と言葉。
「じゃ、またな!」
「はい!」
───これが、先輩と出会った春の出来事。