そこにはオレンジ色のパーカーを目深にかぶった人が立っていた。
だれ、だろう…。誰かのお兄さん、かな?
それにしても身長、高いなぁ…。180センチはありそう。
「……あの?」
無言で見つめて来るその人に恐る恐る声をかけると、唯一見えている口元が楽しげに笑った。
あれ…この笑い方……。
「いやぁ、見違えちゃったな。あまりにも可愛くなってるから人違いだったらどしよかと思ったよ」
「っ!!」
いつも、電話越しに聞いていた声が…目の前から聴こえる。
その人はフードに手をかけると、ゆっくりとそれをおろした。
「──久しぶり、だね。春奈ちゃん」
「…春樹、先輩…!」
ほんとうに、本物……?

