ぼーっとしている間に卒業式も終わり、教室に戻ると先生から一言貰い各々解散となった。
「(卒業式、あっという間だったなぁ…)」
先輩のときはすごく長く感じたのになぁ…。
私はあの日、先輩を呼び出した裏庭に来ていた。
あの時は桜もつぼみくらいしかなかったのに、今じゃ少し咲いてる。
「私も、卒業しちゃったよ」
いつも何かあるとこの桜の木のある裏庭に来ていた私。
ここに来ると先輩が見守ってくれてるような、そんな気になる。
私、先輩勝手に殺しちゃってる…。
自分に苦笑いをこぼして桜の木に手をあてた。
「今年も、綺麗に咲いてね」
桜の木に向かって微笑むとジャリっと石を踏む音が聞こえ、振り向いた。
「…?」

