離ればなれでも【企画】




その手を名残惜しく思いながらも、じっと先輩を見つめた。


今、言わなきゃ…!


そう意気込んで口を開いたけれど、それは音にはならず先輩の声にかき消された。




「オレ、関東の大学行くんだよね」


「……えっ?」




関東…?




「だからさ、オレがここに帰ってくる時しか母校にもよれなくなるわけよ。バスケ部も見に来れないんだ。我ながら遠い大学選んだなぁって思ったけど」


「……」




あはは、と笑う先輩に私は何も言えなかった。


そんな…てっきり地元の大学に行くもんだと思ってたのに…。


ほんとうに、今日、先輩と離ればなれになっちゃうんだ…。




「春奈ちゃんにも会えなくなっちゃうな」


「……っ」