笑顔で走り寄って来る先輩にどきっとしつつも、控えめに手を振り返した。


いつも無造作にはねている髪の毛は整えてきたのか、ストレートになっていたけれどところどころはねていてかわいい。




「どしたの、こんところに呼び出したりしちゃって」


「あっ、えと…そ、卒業おめでとうございます…!」




いきなり「すきです!」と言うのもなんだか直球で恥ずかしいから、そう言葉をすり替えた。


じ、自分から告白するのってすごい恥ずかしい…!




「お、あんがと。いやぁ、でもオレが卒業できるとは思ってもみなかったわ」


「な、何言ってるんですか…!卒業しなきゃ先輩のやりたい事できないですよ!」




もし、先輩が留年でもしたらもう1年、一緒にいられたのにな…。


なんて、煩悩は今すぐ捨て去ろう。




「確かに。まだ夢の途中なのに、ここで止まれねえよな」


「そうですよ!…それより、先輩の夢って…?」