俺が達子おばさんとおばさんの夫であるおじさんに連れて来られたのは、俺らが住んでいた一軒家だった。
「お帰りぃ、パパ、ママ」
扉を開けた時に家の中から出てきたのは、俺よりも年上らしい女だった。
「この子がママの弟の息子?」
「そうよ。硅午っていうらしいわ」
「ふーん。硅午ねぇ・・・」
女は俺を下から上まで見ると、ふんっと鼻で笑って奥へ行った。
俺はおばさんとおじさんが俺を迎えに来る前に買ったという食材を持っていたので、
女の後を追ってリビングへ向かった。
この家は俺らが引っ越す前にリフォームしたらしく、いつも新築らしい雰囲気があった。
しかし今俺の目の前にあるのは、築何十年かたっていそうな雰囲気が漂っていた。
汚れ1つない綺麗な壁に合った母さんの選んだ空色のカーテンは消え、趣味の悪い花柄の模様のカーテンに変えられていた。
ごみ1つなかったフローリングの床には、ポテトチップスの欠片のようなものが所々に落ち、
その袋が散乱していた。


