「硅午もお兄ちゃんだな」 「うん。初めまして咲希。僕が咲希のお兄ちゃんだよ」 「硅午は良いお兄ちゃんになりそうね」 「親馬鹿ならぬ兄馬鹿になりそうだな」 父さんは冗談で言ったはずだが、俺は確かにその時思った。 俺が妹を、咲希を守ろう、と。 何があっても、俺が盾になり、咲希を守ろう。 嫌われても、俺は咲希を好きでいよう。 ―――そう、決めていた。 しかしそれからまた数日後。 両親が亡くなった。 突然の事故だった。