それから数日後。
俺に妹が出来た。
病室で妹を含めた家族写真を撮ったあと、母さんが切り出した。
「硅午。名前、考えた?」
「うん!」
俺は学校で使っていた自由帳を取り出し、その中の1ページに大きく書いた名前を父さんと母さんに見せた。
「花が咲くの咲くに、希望の希か。
何て読むんだ?」
いつもは無口で必要最低限にしか話さない父さんも、この日はウキウキした口調だった。
「咲希(さき)だよ。篠木咲希」
「さが多いな」
「あ・・・気が付かなかった」
「でも良いと思うぞ。
希望が咲く。良い名前じゃないか」
「良いの?さが3つもつくよ?」
「良いのよ咲希で。硅午が考えた名前ですもの。
篠木咲希。可愛らしいわね」