「ねぇ、これ処分しておいてよ」
秀美に投げられた何かを受け取ると、指に痛みが走った。
見ると、ガラスの破片だった。
そして、投げられた何か。
それは、咲希が生まれた時に病室で撮った、最後の家族写真が入った写真フレームだった。
フレームに飾られていた貝殻などは取れ、ヒビがはいっていた。
「・・・!」
「馬鹿みたい。家族なんて」
「・・・あんたに言われる筋合いはない」
「あんた?アタシのことあんたって言っていいのかしら。
あんた、まだ覚えてないの?
あんたはこの家の居候なの。
部外者なの!
だからご主人様であるアタシにあんたなんて言わないでよ。
あんたを今すぐ追い出すこともアタシには出来るの」
出て行こうとする秀美が振り向く。
「明日、4時には必ずこの部屋にいなさい。
用があるから。
いなかったら、あんたを追い出すからね」
・・・俺はまるで奴隷だ。


