俺は物置の部屋の扉を開けた。
中には前に父さんと母さんが使っていたものがごみのように置かれていた。
咲希が使うはずだったおもちゃも。
「・・・」
俺は力抜き、跪き、泣いた。
父さんや母さんと過ごした家が、壊されていく。
それがどうしようもなく哀しかった。
「男のくせに泣いて。馬鹿みたい」
入り口に立つ女が俺を見て笑う。
その前髪には、クローバーが付いた髪留めがついていた。
「その髪留めっ・・・!」
「これ?可愛いからもらったわ。
あんたの部屋に会ったけど、あんたが買ったの?
好きな女でもいるの?」
髪留めは、咲希と母さんにあげるつもりだった。


