父さんと母さんが寝室に使っていた和室の部屋には、
大きな不似合のベッドが無造作に置いてあり、
趣味の悪い女ものの服が散乱していた。
「その食材はキッチンに置いといてくれ」
「は、はい」
仕方なくキッチンへ向かうと、俺は袋を落とした。
いつも母さんが綺麗にしていたキッチンのシンクは汚れがあり、
ぴかぴかと輝いていたキッチンはどこにもなかった。
どこからか変なにおいもする。
「あの、おばさん」
「なんだい」
「いつからこの家に住んでいるんですか?」
「2日前からさ」
たった2日で父さんと母さんと住んでいた家が消えるなんて。
俺はこの時、絶望した。


